それは外部から見ることが出来ない壁の中です。近年の建物は高気密・高断熱というのが当たり前になってきているので、空気の流通が非常に悪く、外部と内部の空気の流通は換気に頼るしかありません。
建築基準法改正で各部屋に常時換気扇を取り付けるよう義務付けられましたが、部屋の中の空気は換気しますが、壁の中までは換気しづらく、根本的な解決になっていません。
そして一戸建て住宅や特にマンションは外壁部に防水効果のあるアクリル系塗料や吹付、防水材の塗布、樹脂系接着剤のような化学物質を使用しているので外壁面全体がコーティングされており、内部の空気と外部の空気の流通ができません。マンションの陸屋根の場合も同様にアスファルト系やシートで完全防水しますので、空気の流通はできません。しかも、使用される材料も、新建材が多く用いられ、昔の木造の家屋に比べ、吸湿性が悪くなってきているのも一因と思われます。
そこで部屋の湿気が壁面に付着し、これが結露となって壁の中を湿気の溜まり場にしてしまいます。そこに適度な温度になるとカビが発生し、見えない部分にこびりつき、室内の空気がカビ菌で汚染されているわけです。最近の内装は石こうボートに壁紙をよく使用していますが、この石こうボードの裏などにカビはよく存在します。リフォーム工事などで壁を解体するとよく黒カビが見えることがあります。
外部の壁なども同様にカビが発生する場合があります。これは無機質の壁材に見えて意外と塗料や吹付材に有機質系の添加剤を混入されていることがあるからです。カビは特に有機物に生えやすいのです。続きを読む