2006年09月28日

定年前リフォーム

約800万人とされる団塊の世代がまとまってリタイアする2010年頃までに起きるとされる問題があります。これらの方々が定年を迎え、主な活動の場所を会社から我が家に移すことになるその時、果たして自分が思っている居場所が家に存在するでしょうか? 実は会社を辞めてからとんでもない事実に直面することがあります。文芸春秋から出版されている「定年前リフォーム」には辞める前に必ず読んでおくと、妻といっしょに生活をしていく上で上手にリフォームできるかということが書かれています。

定年後、ある日の朝、ゆっくりと新聞でも読もうとリビングのソファに腰をおろしたとたん、「ちょっと、そこ、私の場所なんだけど・・・」と妻に言われます。そう、この家はもう既に妻の「城」だったのです。奥さんはいるはずのない日に夫がいると、生活のペースを乱されたことに戸惑いを感じます。ご主人がこれまで会社や仕事に費やしてきたのと同じだけの時間を妻は家事や子供の世話をしながら家で過ごしてきて、妻が我が城とするのは自然の流れだと・・・。

●妻は夫が定年後、誰と暮らしたいか?
 男性の80%以上が「配偶者」という答えに対し、女性は65%。
 女性の22%が一人暮らしを希望しています。

●男性が定年後に大切にしたいことは?
 1.配偶者と暮らす
 2.健康のためスポーツする
 3.収入を伴う仕事をする
 4.自分の子供を援助する
 5.子孫と暮らす
 6.地域活動を行いたい

●女性が大切にしたいことは?
 1.家事の省力化
 2.ものを少なくすっきりと暮らす
 3.話題のスポットに頻繁に出かける

と、男女の意識は全く異なっています。この現実をご主人はいかに理解し、関係を改善するかにかかっています。サラリーマンとその妻という関係から、肩書きの無い者同士というシンプルな関係に切り替わる60歳を前に、お互いの数十年を振り返り、言葉にしあう、それはこの先の新しく長い人生を考えるための貴重な共同作業です。妻の思いをまずヒアリングすることは今後のご主人の居場所づくりにとって重要な第一段階です。そのためには、妻に本音で発言してもらう必要がありますので、妻の言葉にカチンときたりムッとする場面があっても、決して感情的にはなってはいけません。ご主人が逆切れしてしまえば、妻は本音を飲み込んでしまい、妻の城は永遠と妻だけの城になってしまいます。

●家のゾーンわけをし、棚卸し作業をする
「パブリックゾーン」と「共用ゾーン」、「プライベートゾーン」とに二人で話し合って、色分けする。
そうするとあいまいなゾーンがでてきます。子供が独立した後の子供部屋が納戸化していたりします。またこの納戸にある思い出の詰まった荷物も共同で片付けることからはじめてみましょう。そこで、元子供部屋をプライベートゾーンへと確保できます。
また、本に掲載しているチェックリストで採点してみる。

●水廻り 最低限の掃除は同居のルール
毎日夫が出勤した後、妻はトイレや洗面所を掃除しています。来る日も来る日もひたすら繰り返しの継続です。退職後、家にいる時間が長くなると、妻の毎日のこういう地味な努力があって家がきれいに整っているということに気付くはずです。またご主人の使用回数も家にいることで増えるはず。これからは二人で分担する。そういう気持ちの切り替えが大切で、使った後は汚していないか確認する一呼吸を最低限の習慣としたい。

●浴室
浴室をリフォームする際は、夫婦二人に快適なスペースになるよう、まず妻にとって浴室がどういう場所かを考え直す。快適な浴室と同時に快適な洗面、洗濯、水周りの掃除ができることが必要条件となります。浴室乾燥機がついていなければ取り付け、洗面台周辺の収納を見直し、収納スペースを増設するといった主婦にとっての家事機能アップする仕掛けを取り込むと満足してくれます。また、浴室横にバスコートを作ったり、トイレと洗面脱衣とを一室にするといったワンルーム化も良い。

●キッチン
妻の城ではリビングに並ぶ中枢部分がキッチンです。このキッチンをご主人の楽しみの場にしてしまうのも良いのではないでしょうか。定年を機に夫がキッチンの主導権を握ることになったお宅もたまにあります。そこまで、しなくとも、このキッチンとその他の水周りの動線はスムーズにしたいものです。

●個室を趣味室にかえる
子供部屋が空いた後は、自分用に確保し、音楽など音が大きいものは個室でできるよう改造することをおすすめします。個室には欠かせない3点セット。1.自分専用の机 2.座り心地のいい椅子 3.手頃な大きさの本棚。また、自分だけの来客用のテーブルと椅子もあるとわざわざ応接室を設けることは無い。

●寝室
元子供部屋が2つ並んでいれば、そこを2つ使って寝室にしてしまう。全く同じ部屋でワンルームというわけではなく、ご主人と妻との間にクローゼットを天井より少し低く抑えて、上部に50cm程の空間をあけ、お互いの気配は感じれる程度にする。年をとるといつ何時、体に異常をきたすかわからない。そういう時のために、全く別々の部屋にせず、ある程度の距離をおいて寝るということになります。また、寝室近くにはトイレを配置するのが良い。

●バリアフリー
これから、どんどん老いていく。妻はご主人の介護をどう考えているのか、一度話し合っておくことも大切です。家で介護してもらう人を雇い入れるのであれば、その介護者室も必要になる。当然、段差や通路の幅なども見直すが、生活動線を単純にするのも重要です。開き戸を引き戸にしたり、手摺は上下運動のあるところには全て取り付ける。そこで、今、家の中のどの部分に不自由があるかを目をそらさずにじっくりと考え、自分が杖をつくようになったつもりで又は車椅子生活になったつもりで家の中をチェックしてみてはいかがでしょうか。

と、単純にご主人の住みやすいようにリフォームするという発想では、失敗します。この本を読んでみると結構、通常のリフォームと違い、奥が深いんだということがわかります。

定年前リフォーム

文春新書
著者:溝口千恵子 /三宅玲子
出版社:文藝春秋
サイズ:新書/180p
発行年月:2005年01月


posted by 袋谷 at 02:13| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | ライフスタイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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